家族・保育デザイン研究所(略称:家保研)は、保育・幼児教育に長く携わってきた、汐見稔幸と汐見和恵が運営する、家族や保育のよりよいあり方を考える研究所です。それぞれにちがう個性をもつ家族や園が、すてきな作品として成長していく手助けとなる研修、ワークショップ、オンライン講座などを行なっています。
自分の気持ちの変化は自分でわかるよ
5歳児のSちゃん、2歳児クラスに入園したときから手先が器用でハサミを使って器用にいろいろなものをつくるのが大好きです。毎日、製作コーナーで折り紙、毛糸、包装紙、牛乳パックなどいろいろな素材を組み合わせて物をづくりを楽しんでいます。最近はビーズやスパンコールなどの細かいもので、自分のイヤリングやバッグなども作っています。そんなインドア派のSちゃんに大きな変化が生まれました。1年前から子どもたちが夢中になっているハンターごっこ。今までは友達に誘われても入ろうとしなったのですが、最近は自分から友達を誘って入ります。彼女の心にどんな変化が起こったのか、聞いてみたくなりました。
私「Sちゃん、最近ハンターごっこに入っているね。前は入らなかったけど、何か気持ちが変わったの?」
S 「そう。気持ちが変わった」
私 「そう、どんなふうに変わったの?」
S 「前は走るのが好きじゃなかったから入らなかったけど、今は足が速くなったし、みんが楽しそうだから入ったの」
私 「そうなのね。自分の気持ちが変わったのが、自分で分かるの?」
すると、ほかの子どもたちも次々に「うん。わかるよ」
O 「私は前はけやきの人たちがいたから、面白かったけど、今はそうでもない」
(けやき組の人たちはこの春に小学校へ入学しました)
A 「あたしはさくらが入ってきたから、捕まらなくなって面白くなった」
(さくらの人はこの春の新入園の3歳児)
子どもたちは自分の身体能力や力量をよくしっています。自分の能力でこのグループの活動に入ると自分が楽しめるのか、ちょっと自分にとってはハードルが高いのか、自分で判断するのですね。自分の能力の向上を自覚して自らチャレンジするんですね。そんな自分の心の変化まで自分で分かっているのです。