2024年7月、韓国保育視察研修に10人の園の先生たちと行きました。 その時、先生たちの目にとまったのが男子トイレでした。男子便器1台ごとに衝立があり、プライバシーが守られていたのです。日本では腰掛ける便器は個室になっている園が多く、鍵がかかるようになっているのが一般的になりました。 しかし男子便器に衝立がついている園のトイレはこれまで見たことがありませんでした。 研修から帰国して数日後、東京都練馬区の豊玉保育園の園長、浅村都子先生から以下の写真が送られてきました。 早々に男子トイレを改良したのです。なんというスピード感、良いことはすぐ実行という浅村都子先生の姿勢がこのトイレに表れています。
「プライバシーを配慮する」ことは、「人権を尊重すること」でもあるということは知っていても、男子トイレのプライバシーが守られていなかったことに気づかされたのです。
知っている、分かっていると思うことで、それ以外の視点で物を見ることができずに、かえって見えていないこともあるのです。 園の中で「せんせい」と呼ばれて、「今ちょっと忙しいから待っててね」と言いながら忘れてしまっている先生。子どもは待っていますよ。 そのことが人権侵害につながると思わずに、日常的にそんな言葉を子どもに言っていませんか?日頃、先生が子どものことばを大切に思って話を聞いていれば、「待っていてね」という自分の言葉にも責任を持ちます。用事が済んだ後で、「お待たせしました。さっきのお話は何だったの?」と子どもに伝えれば、子どもは自分の思いや言葉が大事にされていることを日々の中で実感します。 そのようにして育った子どもは、自分の思いや言葉を相手に伝えられるだけでなく、他者の思いや言葉なども大事にすることができるのではないかと思います。 汐見和恵
東京都練馬区の豊玉保育園 男子便器改良前と改良後
改良前
韓国視察後、すぐに改良
改良後、プライバシーに配慮された男子便器